経理アウトソーシングの費用を社員1名の人件費と比較する

時間パック制で頼む場合、経理アウトソーシングの費用は任せる業務の量に合わせた月額にまとまり、人件費のように採用や教育、担当者が代わるたびのやり直しが別に積み上がりません。月50時間の規模なら月16.5万円が目安の一例です。
以下では、社員1名を経理に置くときにかかるものを給与から設備まで項目で書き出し、外に出す月額の見当のつけ方を示します。そのうえで、辞めるリスク、管理の負担、安定性、専門性の4つで人件費と比較します。
経理担当が1〜3名、年商3億〜80億円の会社を念頭に置いています。採用するかどうかの判断そのものは扱わず、外に出すときの費用の見方に絞ります。
人件費と比較するときは金額より項目をそろえる
経理を外に出すかを考え始めると、まず気になるのは、経理担当を雇ったときの給与と外注の月額の差です。給与水準は会社ごとに大きく異なるため、ここでは金額を置かず、何にお金と手間がかかるかを項目でそろえます。
時間あたりの単価だけで人件費と比較すると、外注は割高に見えやすくなります。比べる相手を経理担当を1人雇う場合に置くと、単価に表れない項目まで同じ表に載せられます。単価の比べ方では、雇う会社にかかる採用・教育の手間が表に出てこないためです。
時間パック制の場合、経理アウトソーシングの費用は月額と立ち上げの費用にまとまるため、支払う先と金額が見通せます。毎月の支払いが月額を中心にまとまる点も、予算を組むうえで扱いやすい特徴です。
人件費のほうは、給与だけを見ていると、採用・教育や席の用意のように別の科目から出ていく分が目に入りません。担当者が交代するたびに同じ出費が繰り返される点も、給与の額からは読み取れません。
同じ項目の表で整理すると、外に出すと消える項目と社内に残る項目を分けられます。経理アウトソーシングに払う費用と見比べるのは、外に出すと消える項目の一覧です。
外注の月額を人件費と比較するなら、片方は給与だけ、もう片方は業務の全体という比べ方は避けたいところです。両方を同じ項目の表に載せてはじめて、どこが違うのかを説明できるようになります。
給与の水準や採用の方法は会社ごとに異なるため、表には金額を書かず、項目ごとに外に出すと消えるか、社内に残るかの印を付けます。帳簿のどの科目に載っている項目かを添えておくと、社内で説明するときにも迷いません。次の節では、社員1名を経理に置いたときにかかる項目を一覧にします。
社員1名を経理に置くと給与のほかにかかるもの
経理担当を社員として置くと、毎月の給与と賞与に加えて、社会保険などの雇用にともなう負担が会社に生じます。厚生年金保険の保険料は、会社と本人が半分ずつ負担する仕組みです。
採用の段階では、求人や面接にかかる費用と、面接に充てる経営者の時間が要ります。入社後は、会社の経理ルールや会計ソフトの使い方を覚えてもらう教育の期間も見込みます。教育の間は、教える社員の時間も割かれます。
経理アウトソーシングでは業務委託の形をとるため、採用と教育の費用や、PCや席といった設備の費用を自社で払うことはありません。人件費として見たときに給与の陰に隠れやすいのは、この採用・教育・設備の3つです。
見落としやすいのは、人が代わるたびに採用と教育をやり直す出費です。引継ぎの期間を設ければ、前任と後任の給与が重なる月も出てきます。採用が長引けば、その間の処理を誰が受け持つかという問題も加わります。
勤怠の管理や評価の面談など、社員を置けば管理の手間も続きます。経理コンシェルジュでは委託先がチームを管理するため、経理アウトソーシングの費用のほかに、担当者を管理する手間を社内で見込まずに済みます。
採用した人の力量は、月次の処理を任せてみるまで分かりにくいものです。経理に詳しくない経営者が面接だけで実務の力を見極めるのは難しく、スキルの不足に気づくのは処理が遅れ始めてからになりがちです。
給与以外の項目は帳簿の上で別々の科目に分かれるため、1人分の合計として目に入る機会がありません。下の一覧のうち、自社で実際に発生している項目に印を付けておくと、1人の社員にかかる負担を金額の前に把握できます。
- 給与と賞与
- 社会保険などの雇用にともなう会社の負担
- 求人や面接にかかる採用の費用と、経営者の時間
- 入社後に経理ルールや会計ソフトを覚えてもらう教育の期間
- PCや席などの設備
- 人が代わるたびの採用と教育のやり直し
- 勤怠の管理や評価の面談などの管理の手間
厚生年金保険の保険料は、毎月の給与(標準報酬月額)と賞与(標準賞与額)に共通の保険料率をかけて計算され、事業主と被保険者とが半分ずつ負担します。
経理アウトソーシングの費用に含まれる業務と月額の目安
経理コンシェルジュでは、社員1名分の勤務時間を丸ごと買う形とは異なり、任せる業務に要る時間だけを時間パックの月額で契約します。代表的な規模は月50時間で、月額は16.5万円です。月100時間のパックなら月33万円になります。
ある見積の例では、記帳と入出金の確認から、売掛金の消込、総合振込データの作成、経費精算、給与の連携までを月額の範囲に入れました。この例は任せる範囲の参考で、月額は業務の量によって変わります。
経理アウトソーシングに払う費用は月額を中心にまとまり、採用や教育、設備の費用を別に用意する必要がありません。人件費の一覧で印を付けた項目のうち、外に出すと自社で払わなくてよくなるのはこの3つと、人が代わるたびのやり直しです。
月額とは別に、立ち上げのときには初期費用として月額1か月分がかかります。中身は業務の見える化とマニュアル化、社内研修の費用で、会計ソフトの初期設定が要る場合はそれも別に見積もります。初期費用は一度きりの支払いで、毎月の月額には含まれません。
人件費の項目にも、毎月出るものと、採用・教育のように一時に出るものがあります。経理アウトソーシングの費用を月額と初期費用に分けておくと、人件費との比較でも、毎月の出費と一度きりの出費を分けて整理できます。
部門ごとに任せる場合でも、初めから全部を月額に入れる必要はありません。過去の案件では、業務の見える化をスポットで別に立て、月額は受け持つ範囲を絞った金額から始めました。
移行の範囲が広がるのに合わせて月額を改定する方式も、同じ案件でとった考え方です。範囲を絞って始める場合は、立ち上げの月から月額が膨らむのを避けやすくなります。
部門ごと外に出すときの概算を出す4つの手順
経理を部門ごと外に出すときの概算は、今の担当者が月に受け持っている業務の一覧から始まります。月末に集中する振込や締めの作業も、毎月繰り返す作業として書き出しておきます。
一覧ができたら、それぞれにおおよそ何時間使っているかを添えます。正確な記録が無くても、忙しい月と落ち着いた月を思い出せば、見当はつけられます。
社内に残す作業も、この段階で決めます。お金を動かす最終承認と振込の実行、書類の原本や現金の管理は社内に残り、資料をそろえて質問に答える窓口役も要ります。窓口役に経理の知識は求めません。
一覧から社内に残す作業を除いた分が、経理アウトソーシングの費用を見積もる対象です。その時間の合計が月50時間に近いか、月100時間に近いかで、月額の見当がつきます。
決算の前後や賞与の月のように、年に数回だけ増える作業は、毎月の時間に混ぜずに別に書き出します。年に数回の作業を毎月の時間に混ぜると、ふだんの月の時間がつかみにくくなるためです。
最後に、前の節で印を付けた社員1名の項目を、出した月額と比較します。比較すると、外に出したときに無くなる項目と、社内に残る項目が分かれて見えます。社内に残る項目には、窓口役が資料をそろえる時間も含めておきます。
時間パック制の場合、経理アウトソーシングにかかる費用は月額でまとまるため、毎月の固定費として予算に組み込めます。人件費のように賞与の月や採用の時期に出費が偏ることも少なくなります。
概算の段階では数字をそろえすぎず、見当がつけば十分で、細かな内訳は見積の段階で業務ごとに確かめられます。見当の数字を持って相談すれば、見積の前提をすり合わせる時間も短くなります。手順は次の4つです。
- 今の担当者が月に受け持つ業務を書き出し、それぞれのおおよその時間を添える
- 振込の最終承認と実行、現物の管理、窓口役など、社内に残す作業を決める
- 残りの時間が月50時間と月100時間のどちらに近いかで、月額の見当をつける
- 社員1名の一覧で印を付けた項目を、月額の横に並べる
人件費と比較して差が出るのは担当者が辞めたあとの立て直し
社員1名に経理を任せている会社では、その人が辞めると月次の処理が止まりやすくなります。後任が決まるまでの間は、経営者や他部署の社員が慣れない処理を受け持つことになりがちです。引継ぎの資料が残っていなければ、処理の手順を探すところから始めることになります。
導入事例では、年商20億円のエンタメ・芸能関連会社が、経理担当の退職後に採用が難航し、業務フローを組み直して月次決算を早めました。年商5億円の教育グループは、突然の退職のあと、学校会計の経験者を含む3名体制で決算を終えています。
経理アウトソーシングの費用を人件費と比較するときは、この立て直しにかかる手間も項目に入れます。採用の活動と引継ぎの準備が重なる時期は、経営者の時間が大きく削られるためです。
外注に切り替えて楽になった点として挙がるのは、採用しなくてよいこと、採用後のスキル不足を心配しなくてよいこと、経理スタッフが辞める心配がないことです。業務が増えても遅れないことや、教育と引継ぎの手間が要らないことも挙がっています。
楽になった点はどれも、給与明細には表れない項目です。外注の月額を見積もる際も、こうした点を月額の中身として数えておくと、人件費との比較が同じ表でできます。
固定チームで受け持つ形では、担当が欠けたときも内部ですぐに引き継ぎ、依頼する会社で教育し直す必要がありません。年商80億円のシステム開発会社では、担当者の長期休暇の間も、月末の振込データの作成と突合を引き継いで処理を続けました。
辞めるリスクを抑える効果は請求書の項目には表れませんが、比べるときに見落とせない観点です。辞める心配が減れば、経営者が後任探しに備えておく負担も軽くなります。
管理の手間と専門性は固定チームとダブルチェックで補う
社員を雇えば、勤怠の管理、評価や面談、交代のたびの採用と教育のやり直しといった管理の仕事が、経営者や総務に残ります。経理の中身が分からない人が経理担当を管理する形になりやすい点も、負担を重くします。
経理コンシェルジュでは、リーダー1名と実務担当3〜4名でつくる固定のチームが受け持ち、チームの管理も委託先が行います。入力と照合は2名以上で二重に確かめ、手順はマニュアルにして属人化を防ぎます。全員がリモートで対応するため、社内に席を用意する必要もありません。
この体制で受ける場合、経理アウトソーシングの費用には二重の確認と手順の整備も含まれます。人件費と比較するときは、社内で同じ確認を組むなら何人が要るかを考えると、項目の重さが見えてきます。
経理コンシェルジュの担当は経理の実務経験10年以上の人材で、公認会計士や米国公認会計士、簿記2級の保有者も加わっています。定期的な交代もしないため、会社ごとの処理の癖を覚えた顔ぶれが続けて受け持ちます。
1人の担当者で同じ水準をそろえようとすると、二重の確認を誰が担うかという課題が残ります。一人で入力と確認を兼ねると、誤りに気づく機会が限られます。
管理と品質の手間まで含めて見ると、経理アウトソーシングの費用は社内で同じ体制を組む場合の項目と比べやすくなります。経理の専門性を社内でそろえるには、採用の段階で経験者を探す手間もかかります。
毎月、試算表と1枚の月次レポートが届くため、経営者は月に一度の報告で数字の動きをつかめます。進み具合やリスク、改善の提案も定例のレポートで共有され、社内の誰かに状況を尋ねる手間も減ります。
報告の受け取り方を決めておけば、数字の確認を月次の会議に組み込めます。会議の前に報告を読んでおくと、議題を絞って話し合えます。
経理アウトソーシングの費用に見合う社内の時間の使い方
外注に切り替えた会社では月次が遅れなくなり、社内の経理担当は過去の処理から、経営判断に使う資料づくりへ時間を移せるようになりました。社内の人は残り、受け持つ仕事の中身が変わります。
人件費をかけて社内に置いた人材を、入力や照合に充て続けるか、数字を読む仕事に充てるかは経営の選択です。どちらに充てるかを決めると、外に出す範囲も自然に決まってきます。
経理コンシェルジュの受注層は、年商規模のある製造業と建設業です。取引先や現場の数が多い場合は、月次の数字が早く出るほど、資金や受注の判断を早められます。
経理アウトソーシングの費用を人件費と比較する目的は、安いほうを選ぶことに限りません。社内の人の時間をどこに使うかを決める材料としても役立ちます。
比較の結果を社内で共有するときは、外に出す業務と社内に残す仕事を一枚にまとめておくと、社内の担当者にも役割の変化が伝わりやすくなります。一覧があれば、誰がどの仕事を受け持つかを話し合う材料になります。
立ち上げから安定までの目安は3か月〜半年で、その間に業務の見える化と手順の整備が進みます。移行の期間を見込んで外に出す時期を決めておくと、決算や繁忙の月と重なりにくくなります。
経理アウトソーシングにかかる費用の見積は、今の業務の一覧と社内に残す作業がそろっているほど具体的になります。書き出した一覧は、見積を受け取ったあとに任せる範囲を確かめ直すときにも使えます。
経理担当を社内に採用すべきかどうかは、年商の規模によって考え方が変わります。さらに詳しく知りたい方は、年商1億円の経理体制、採用すべきか外注と並べて考えるで採用と外注の並べ方を扱っています。
経理アウトソーシングと社員1名の採用は金額で比べられますか
給与のほかに採用、教育、設備、人が代わるたびのやり直しなど項目が多く、会社によって発生するものが異なるため、一律の金額では並べにくくなります。項目を書き出し、自社で実際に出ているものに印を付けてから並べると、外に出すと消えるものと社内に残るものを見分けられます。
経理を部門ごと任せても社内に人は必要ですか
資料を集め、こちらからの質問に答える窓口になる方が必要です。その方に経理の知識は求めません。お金を動かす最後の承認と実行や、現金・書類の現物の管理も社内で受け持ちます。
外注先の担当者が辞めたり休んだりすると経理は止まりますか
経理コンシェルジュでは固定チームで受け持ち、担当が欠けてもチームの中で引き継ぐので、社内で教育し直す必要はありません。入力と照合は2名以上で確かめます。





経理コンシェルジュ事務局からのコメント
経理アウトソーシングの費用を社員の人件費と並べてみたいときは、今の担当者が受け持つ業務と、給与以外に出ている項目を書き出すところから始めてください。数字がそろっていなくても、一覧があれば話を進められます。
社内に残す作業と外に出す範囲が決まれば、経理アウトソーシングにかかる費用を月額の目安でお示しします。範囲を絞って始め、移行の途中で任せる範囲を広げる進め方もご相談ください。