記帳代行の料金相場と、記帳だけ頼むと起きること

記帳代行の料金相場と、記帳だけ頼むと起きること

記帳代行の料金相場は、各社の公式料金ページで見ると月100仕訳で月額5千円台から2万円台(税抜・税込が混在)に分かれます。金額は仕訳件数で決まるのが一般的ですが、記帳だけを頼むと、入金の確認や支払の準備、資料の回収は社内に残ります。

以下では、公表価格の幅と料金表の読み方、表の外で金額が変わる条件を示し、記帳以外に残る作業と依頼範囲の決め方、見積を比べる手順へと進みます。想定する読者は、年商3億〜80億円で経理担当が1〜3名の会社です。

監修者:山下 健一(株式会社タックスコム代表)
日本で唯一、税理士業界を3方向(お客様の声、帳簿の中身、事務所の内情)から見てきた経理コンシェルジュ。税理士紹介を20年。税理士を探す社長の声を、今も聞き続けています。帳簿の中身は経理の代行で、事務所の内情は1,600名以上の所長面談で見てきました。税理士でも会計士でもない第三者だから話せる裏側を、お伝えします。

記帳代行の料金相場を各社の公表価格の幅でつかむ

記帳を外部に任せる料金は、各社の公式サイトにある料金表で確かめられます。2026年10月に6社の公式料金ページを開き、月の仕訳件数ごとの金額と、税抜か税込かの表記を書き出しています。料金の決まり方と、追加の作業の扱いも控えています。

調査の対象にしたのは、記帳を単独で頼める料金表を公開している外注先です。まとめサイトや比較サイトの数字は使わず、金額は各社の表記のとおりに写し、計算が要る箇所だけ公式ページの式で算出しています。

記帳代行の料金を6社の表で比べると、相場は月100仕訳でおよそ5千円台から2万円台、月200仕訳で8千円台から3万円台です。各社の金額は、料金の算出方法とあわせて下の表にまとめています。

同じ月100仕訳でも金額に幅が出るのは、表の金額に含まれる作業と料金の決まり方が各社で違うからです。紙の領収書を受け取って整理するか、データだけを受け取るかで、1社の中でもプランが分かれます。

幅の下限の5千円台は税抜、上限の2万円台は税込で、200仕訳の幅も税抜と税込が混じっています。6社のうち税込は2社、税抜は3社、残る1社は記帳の料金表に表記がなく、そろえずに比べると1割の差を見落とします。

記帳代行の相場を料金表だけで読むと、作業の範囲が狭いプランほど安く見えます。比べる前に、掲載された金額がどこまでの作業を含むかを確かめておくと、契約後の追加の請求を避けられます。

仕訳件数が増えたときの扱いも各社で異なります。月201仕訳以上を個別の提案とする料金表や、700件を超えると別に見積もる料金表もあるため、量の多い会社は表の上限を先に確かめます。

表の金額は記帳の作業の対価に限り、決算や申告の費用は含めていません。決算や申告は顧問の税理士との契約で決まるため、記帳の料金とは分けて考えます。

記帳代行の公表価格の例(月の仕訳の量ごと)
依頼先料金の決まり方月100仕訳月200仕訳税抜/税込
A社仕訳の量の区分ごとに月額を定め、作業の範囲で3つのプランに分ける6,600円〜22,000円8,800円〜24,200円税込
B社基本料に1件ごとの単価を足す。送り方で基本料が異なる5,230円〜6,230円11,730円〜12,730円税抜
C社100仕訳ごとの区分で月額を定める10,000円15,000円税抜
D社仕訳の量の区分ごとに月額を定める16,500円33,000円表記なし
E社100件ごとの区分で月額を定め、作業の範囲で2つのプランに分ける11,000円〜16,500円22,000円〜27,500円税込
F社50件までの料金に50件ごとの金額を足す5,980円11,980円税抜

※各社の公式料金ページ(2026年10月取得)。税抜/税込の別は各社の表記のとおりです。B社とF社の一部の金額は公式ページの計算式から出しました。

※B社は送るたびに料金を計算する方式のため、月1回送る前提で示しました。アプリ送信プランは計算式と記載例が一致しないため外し、メール送信と郵送の2プランで示しています。

金額の幅は、次に示す料金体系の違いと、表に入らない作業の違いから生まれます。

仕訳件数で区切る料金表と1件ごとに足す料金表の違い

左右に分かれる石畳の道の手前で、あごに指を当てて考える女性

調べた6社の料金表は、大きく2つの型に分かれました。1つは「100仕訳まで」のように仕訳件数の区分ごとに月額を決める型、もう1つは基本の件数までの料金に、超えた分を足していく型です。どちらにも当てはまらない料金表もあります。

区分で決める型では、同じ区分の中なら件数が増えても金額は変わりません。6社の中には、100仕訳ごとに月5,000円(税抜)ずつ上がる表と、100件ごとに月11,000円(税込)ずつ上がる表がありました。

記帳代行の料金を区分の型で読むときは、境目の件数で相場の数字が一段変わる点に注意が要ります。月の仕訳件数が101件になれば、金額は1つ上の区分で決まります。

足していく型では、基本料に含まれる件数が30件や50件と小さく、超えた分に1件65円などの単価を掛けます。件数が多くなると単価を60円、55円と下げる表もあり、件数に比例して金額が変わります。

区分ごとの月額に、上限を超えた分を1仕訳77円(税込)の一律の単価で足す料金表は、2つの型を組み合わせた形です。50件までの料金に50件ごとの金額を足す料金表も、1件ごとの加算とは刻み方が異なります。

月ごとの仕訳件数の変動が大きい会社は、多い月と少ない月の両方の件数で、記帳代行の料金を相場と照らし合わせます。区分の型は境目をまたぐ月に金額が一段上がり、足す型は件数に比例して月ごとの金額が変わります。

件数の数え方は、各社が定めた単位に従います。仕訳数で件数を数えると明記した料金表もあり、見積の前に1件の数え方をそろえておくと比べやすくなります。

月額の目安を出すときは、直近の数か月の平均と、最も多い月の件数を両方書き出しておきます。区分の境をまたぐ月がどれくらいあるかが分かり、年間の金額も読みやすくなります。

月額に上乗せされる紙の整理と部門別の集計

6社のうち5社は、紙の整理や部門別の集計を、基本の月額とは別のオプションやプランで扱っていました。料金表の月額だけを見ていると、頼みたい作業が料金に入っているかどうかが分かりません。

証憑の整理の追加料金は、月100仕訳までで月5,000円(税抜)や5,500円(税込)といった水準です。仕訳件数に合わせて段階的に上がる料金表で、量の多い会社ほど上乗せの額も大きくなります。

部門別の集計は、記帳代行の料金表で別建てにしていた3社とも、相場の表の基本の金額に加える形でした。月100仕訳までで5,000円(税抜)から6,600円(税込)の上乗せです。

減価償却費や棚卸を毎月計上したいときは、それぞれ月3,000円(税抜)を加える料金表もありました。月次の数字を経営の判断に使う会社ほど、こうした追加の作業が増えます。

資料の渡し方も依頼範囲に関わります。現金出納帳を社内で作る前提のプランでは、出納帳が未入力のまま資料を送ると、上位のプランの料金に変わる場合があると書かれていました。

記帳代行の相場を料金表で見比べるときは、自社が頼みたい作業がオプションに当たるかを先に確かめます。オプションを足した後の月額で比べると、依頼範囲をそろえた比較になります。

ネットバンキングを契約していない会社は追加料金がかかる、と注記する料金表もありました。明細をデータで出せるかどうかも、月額を左右する条件です。契約の有無は、見積の前に口座ごとに確かめておきます。

オプションの金額は毎月の料金に加わるため、年間で見ると基本の料金との差が大きくなります。頼む作業が決まったら、オプションを含めた月額を12か月分で見ておきます。見積を比べるときも、同じ12か月分でそろえます。

記帳だけ頼むと入金の確認や支払の準備は社内に残る

記帳代行で外に出せるのは、仕訳を入力して帳簿を作る作業です。経理の仕事はそのほかに、売上と入金、支払、経費精算、給与、月次の締めにわたり、記帳だけを頼めば残りの作業は社内で続きます。

記帳だけの依頼で月額が小さく収まるのは、任せる作業が帳簿の入力に限られるからです。入力の前にある資料集めと、入力の後にある入金の照合や振込の準備は、記帳の料金表には含まれていません。

記帳代行の料金が相場どおりに収まっても、請求書の発行や入金の確認、振込データの作成にかかる社内の時間は減りません。料金表を比べるときは、外に出す作業と残る作業を分けて考えます。

記帳に回す資料を集めて送る作業も、社内で受け持つことになります。領収書や請求書を月ごとにそろえ、決まった日までに依頼先へ渡す担当を決めておかないと、記帳そのものが始まりません。

資料の提供から入力の完了までおよそ3週間と示す外注先もあります。月次の数字が締めの日程に間に合わなければ、社内で別に集計する手間が発生します。

経理担当が1名の会社では、記帳を外に出しても、請求から支払までの作業はその1名に集まったままです。記帳代行の料金を相場の範囲に抑えても、その1名の忙しさは大きく変わりません。

担当が3名いる会社でも、記帳を担っていた人の手が空く分を、どの作業に振り向けるかを決めておきます。振り向け先が決まっていれば、記帳を外に出した分だけ月次の締めが早まります。

依頼先から届く問い合わせに答える時間も、社内で必要になります。内容の分からない入出金について、誰が答えるかを決めておくと、記帳が止まりません。答える窓口を1人にまとめておくと、やり取りの行き違いも減ります。

  • 請求書の発行と入金の確認、売掛金の消込
  • 支払の請求書の受け取りと振込データの作成
  • 経費精算の申請の確認
  • 記帳に回す資料の回収と送付
  • 依頼先からの問い合わせへの回答
  • 月次の数字のとりまとめと報告

資料の受け渡しが記帳の納期と社内の手間を左右する

立ったまま、男性がネイビーのファイルを女性に手渡している様子

資料の受け渡しの方法は、料金表の金額以上に、記帳がいつ終わるかと社内の手間を左右します。経理コンシェルジュが税理士事務所から関与先の記帳を受けた運用を例に、受け渡しの流れを示します。

資料はレターパックで受け取り、発送日と追跡番号を記録しました。記帳したデータはチャットに添付して納品し、原本はレターパックで返送して、その発送日と追跡番号も記録しています。記録があれば、預かった書類の所在をいつでも答えられます。

書類の預かりと発送は別の台帳で管理し、進捗表は記帳の進捗だけを追う表にしています。原本を送り返す手間は記帳代行の料金表に表れにくいため、相場を比べるときは返送の方法も確かめます。

建設業の関与先では、資料を7月6日と7月13日の2回に分けて受け取り、7月10日に記帳を始めました。記帳を終えてチャットで納品したのは9月1日で、原本は9月3日に返送し、先方には9月7日に届いています。

資料の最初の受け取りから納品まで約2か月かかり、進捗表に記録された件数は1,987件でした。資料が2回に分かれると、先に届いた分で記帳を始めても、後の資料を待って仕上げる工程が残ります。

紙の原本を郵送するプランの基本料を、メールで送るプランより1,000円高く定めている料金表もあります。記帳代行の料金を相場と比べるときは、送り方ごとの金額の差と、原本が戻るまでの日数を一緒に見ておきます。

社内でも、いつ何を送り、いつ戻ったかを一覧にしておくと、決算の前に書類を探す時間が減ります。送る日を毎月決めておけば、納品の日も読みやすくなります。

依頼範囲は記帳だけの小さな構成から広げていく

窓辺の机に並んだ3つの小さな苗の鉢に、ネイビーのじょうろで水をやる男性

依頼範囲を最初から広く取る必要はありません。記帳だけの小さな構成で始め、資料の受け渡しと問い合わせの流れが落ち着いてから、入金の照合や振込の準備へ広げる進め方があります。最初の数か月で、資料の届き方や問い合わせの量がつかめます。

記帳だけの依頼は、外に出す作業が小さく、社内の手順を大きく変えずに始められます。資料の渡し方と問い合わせへの答え方が固まれば、その手順を次の作業にも使えます。広げる作業を決めるのは、記帳の流れが安定してからで間に合います。

記帳代行を相場並みの料金で始めた依頼を広げるときは、料金の単位が変わる点に注意します。記帳以外の作業まで任せる経理代行では、月額を作業の時間で決める方式があり、経理コンシェルジュの時間パックは50時間で月16.5万円が代表的な規模です。

広げる順序は、記帳の前後にある作業から選ぶと引き継ぎが滑らかです。入金の確認と売掛金の消込は記帳の結果を使い、振込データの作成は請求書の受け取りと続いているため、記帳と同じ担当者が受け持つと確認の往復が減ります。

記帳代行の相場の料金と時間パックの月額は、任せる作業の量が違うため、額面だけでは比べられません。比べるのは、同じ依頼範囲で社内に残る時間がどれだけ減るかです。

公開している導入事例のうち年商3億円の輸入販売会社は、記帳に加えて請求書の発行と支払の代行も一括で委託しています。記帳から始めるか一括で任せるかは、社内に残せる人手を基準に決めます。

範囲を広げても、振込の最終承認と実行、現金や書類の現物の管理は社内に残します。業務の一部だけを社内に戻すこともでき、広げた範囲は運用を見ながら調整できます。戻すときの手順も、広げるときと同じ順で考えます。

記帳代行の料金を相場と比べて見積を確かめる手順

見積を比べる準備は、直近の月の仕訳件数を数えることから始まります。少ない月だけで数えると、区分の境を越えた月に金額が一段上がり、予算とずれます。

仕訳件数とあわせて、紙の領収書の量と、ネットバンキングで明細を出せる口座の数も書き出しておきます。どちらも、表の外の作業が月額に加わるかどうかを決める数です。

記帳代行の料金を相場と比べる手順は、下の5段階です。件数の次に資料の送り方と表の外の作業を決め、税抜と税込をそろえてから金額を比べます。

金額を比べたあとは、記帳以外に残る作業を誰が受け持つかを決めます。記帳の料金が安く収まっても、残る作業を担う人がいなければ、経理担当の負担は軽くなりません。

記帳の外の作業まで任せたときの料金の単位と月額の決まり方は、経理代行の費用の相場と内訳、時間パック制で見る本当の金額にまとめています。記帳だけの見積と並べて読むと、依頼範囲を広げたときの金額の見当がつきます。

依頼先から見積を受け取ったら、記帳代行の料金に含まれる作業と、相場の表にない追加の作業を分けて書き出してもらいます。分けて示されていれば、契約後に頼みたい作業が増えたときも金額を読み直せます。

経理コンシェルジュでは、口座の数やカードの枚数、月の仕訳数を事前に確かめていただき、ヒアリングで毎月の業務の流れを伺ってから見積を提示します。見積書には業務ごとの内訳を記載し、業務量が変われば見直します。

見積を受け取ったら、オプションと送り方の違いを書き添えて月額を一覧にしておきます。社内で説明するときにも、比べた根拠をそのまま示せます。税抜と税込の別も、同じ欄に書き添えます。

  1. 直近の多い月を含めて、月の仕訳の数を数える
  2. 資料を紙で送るかデータで送るかを決める
  3. 証憑の整理や部門別の集計など、表の外の作業を書き出す
  4. 税抜と税込をそろえて、同じ仕訳の量の金額を並べる
  5. 記帳の外に残る作業を誰が受け持つかを決める

記帳代行の料金は月にいくらくらいですか

公式料金ページに載っている金額では、月100仕訳で5千円台から2万円台に分かれます。下限は税抜、上限は税込の金額で、依頼先によって表記が異なるので、税抜か税込かをそろえたうえで比べてください。

記帳代行を頼んでも社内に残る作業は何ですか

請求書の発行と入金の確認、支払の振込データの作成、経費精算の申請の確認、記帳に回す資料の回収と送付などが社内に残ります。依頼先からの問い合わせに答える担当も決めておきます。

仕訳の数が月によって大きく変わるときはどう比べればよいですか

区分ごとに金額を決める料金表は、境目をまたぐ月に金額が一段上がります。少ない月だけで比べず、多い月の数でも金額を確かめておくと、予算とのずれを抑えられます。

経理コンシェルジュ事務局からのコメント

記帳代行の料金を相場と見比べるときは、月の仕訳件数に加えて、資料を紙で送るかデータで送るかを先に決めておきます。送り方が決まっていると、見積の読み違いが減ります。

記帳の外にどの作業が残るかは、社内に残したい作業と任せたい作業を書き出すと見えてきます。記帳代行の相場の料金表と並べながら、無理のない始め方を考えましょう。

記帳代行の料金や相場の数字で気になる点があれば、見積の内訳を遠慮なく尋ねてください。外に出す作業と手元に置く作業の分け方も、内訳を見ながら一緒に決められます。

株式会社タックスコム 代表取締役 山下健一

執筆責任者|株式会社タックスコム 代表取締役

山下 健一

税理士紹介を20年、1,600名以上の税理士所長と面談。2002年に経理代行会社で経理実務を始め、ITベンチャーの財務管理責任者、複数社のCFOを経て、経理コンシェルジュで中小企業の経理を預かる。プロフィール

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